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AI案件の単価相場【2026年8月版】|フリーランスエージェント経由の月75〜105万円を「手取り」と「拘束」に換算する

福朗

2026年8月版 AI案件の単価相場 エージェント経由の実データ と書かれたアイキャッチ画像

クラウドソーシングでAI関連の仕事を受けていると、単発で数万円という金額に慣れてきます。そこへ「AIエンジニアのフリーランス単価は月100万円」という記事が目に入る。桁が2つ違う。

この記事は、その桁の差がどこまで本物で、どこからが表示の都合なのかを分解するために書いています。相場表を並べて終わりにはしません。月額単価を「1時間あたりいくら手元に残るか」と「週何日を差し出すか」に変換して、エージェント経由の準委任契約へ移るかどうかを自分で判断できる状態にするのがゴールです。

この記事の結論

  • 相場の数字は3種類あって、どれも正しい。案件掲載ベースで月75.2万円、AI職種の実績ベースで月104.6万円、稼働者アンケートで月80万円。母集団が違うだけです。
  • 月額単価は手取りではありません。精算幅・消費税・国保・年金・経費を通すと、月80万円の案件で自由に使えるのは月40万円台に落ち着くのが現実的な見立てです。
  • それでも時間あたりで見ると差は大きい。クラウドソーシングの単発案件を提案時間まで含めて割ると時給1,000円台になることがあり、準委任の5,000円前後とは構造的な差があります。
  • 移行の壁は単価ではなく実務経験年数と週の稼働日数。多くのAI案件が実務経験3年以上・週3〜5日を前提にしています。
  • 2026年9月30日でインボイスの2割特例が終了します。今から売上が伸びる人ほど、この期限は手取りに直接効きます。

01AI案件の単価相場は「調べ方」で3つに割れる

まず数字を出します。ただし1つの数字ではなく3つ出します。ネット上で「AI案件の相場は月◯万円」という記述が食い違って見えるのは、誰かが間違っているからではなく、集計している母集団が違うからです。

掲載案件ベースの月額平均単価(IT全職種)

75.2万円

フリーランスボード/596,076件・2026年8月7日時点

機械学習・AIエンジニアの平均月額単価

104.6万円

HiPro Tech/2024年1〜12月の案件データ

稼働中フリーランスの自己申告平均(IT全職種)

約80万円

ファインディ/回答265名・2026年1月調査

※ いずれも週4〜5日のフル稼働を前提にした月額表記。消費税・経費・社会保険料を差し引く前の金額です。

3つの数字がズレる理由

この3つを並べて眺めると、AI案件の単価を語るときに何を見ているのかがはっきりします。

同じ「相場」でも、集計方法によって意味が変わる
数字の出どころ何を数えているかズレる方向
掲載案件ベース
(フリーランスボード等)
エージェントが公開している募集要項の月額表示。59万件超という母数の大きさが強み。 募集が出やすい中堅レンジに寄る。成約せずに残り続ける案件も含む。
職種別の実績ベース
(HiPro Tech等)
そのエージェントを通じて実際に成立した案件の職種別平均。AI職種だけを切り出せる。 そのエージェントの取扱い層に依存する。上流案件に強い会社ほど高く出る。
稼働者アンケート
(ファインディ等)
実際に働いている本人の申告。週3日稼働の人も含まれる。 回答者265名と母数が小さい。稼働日数の違いが平均を押し下げる。

つまり、「AI案件」に絞った職種別データを見れば月100万円前後、IT全職種を含めた市場全体を見れば月75〜80万円という関係です。前者だけを見て「AI案件は月100万円」と受け取ると、自分が該当しない層の数字を自分の期待値にしてしまいます。

数字を読むときの実務的なコツ

フリーランスボードの2026年8月発表では、月額平均75.2万円に対して最高単価は300万円と記載されています。平均と最高が4倍違う分布では、平均値は「よくある案件」を表しません。案件検索で自分の条件を入れて実際に表示された案件の下限値を見るほうが、判断材料としては正確です。

02案件タイプ別・経験年数別の単価レンジ

次に、その平均の中身を分解します。AI案件と一括りにされていますが、実際には求められる役割によってレンジがはっきり分かれています。

案件タイプ別の月額単価レンジ

週5日稼働・税別。バーの左端が下限、右端が上限を表します。

MLモデル開発
70〜100万
NLP・LLM
80〜120万
画像認識・CV
70〜100万
データ基盤・分析
60〜90万
MLOps・運用
70〜100万
AIコンサル
100〜200万
0 50万 100万 150万 200万

出典:フリコン「AI案件の種類と単価相場」、テックキャリア解析所の職種別集計をもとに作成。AIコンサルはレンジの幅が広く、実質的には別職種と考えたほうが実態に近いです。

ここで気づいてほしいのは、LLM関連が突出して高いわけではないことです。NLP・LLMの上限120万円に対し、MLOps・運用も上限100万円。「生成AIを触れる」ことより、本番環境で動かし続ける責任を持てるかが単価の分岐になっています。

経験年数別の月額単価の目安

エンジニアとしての実務経験年数。上のグラフと同じ0〜200万円のスケールです。

実務1〜2年
40〜55万
実務3〜5年
55〜80万
実務5〜8年
80〜100万
実務8年以上
100〜130万
0 50万 100万 150万 200万

出典:フリコン「AI案件の種類と単価相場|経験年数別・タイプ別の目安」

2つのグラフを重ねると構造が見えます。案件タイプの下限(60万円)と経験3〜5年の上限(80万円)が重なる帯が、独立直後の人が最初に触れるゾーンです。「AI案件だから100万円」ではなく、「AI案件の中で、自分の経験年数が届くのはどのレンジか」で考えるほうが交渉が現実的になります。

生成AIを「使う側」であることの単価効果

ファインディの2026年1月調査(回答265名)では、コードの50%以上をAIで生成している層の平均月単価は約84万円で、活用度が25%以下の層とは約10万円の差がありました。AIによって「生産性が向上した」と答えたのは81.9%、そのうち約4割が「月単価が上がった」と回答しています。AI案件を受けるかどうかとは別に、AIを使って開発する習慣そのものが単価に効いているというデータです。

03月額単価は手取りではない — 4段階の差し引きを通す

月額単価から消費税・経費、国民健康保険・年金、所得税・住民税が順に差し引かれ、手取りに至る5段階の階段図
掲載されている月額単価は、この階段の一番上の数字です。相場記事の多くはここで話が終わります。

ここからが、単価相場の記事がだいたい触れない部分です。エージェント案件の「月額80万円」という表示は、あなたの銀行口座に毎月80万円入るという意味ではありません。4つの関門を通ります。

関門1:精算幅 — 「月額固定」が固定である範囲

準委任契約の案件には、ほぼ必ず精算幅という条件が付いています。「140-180h」のように書かれているものです。これは月の稼働時間がこの範囲に収まっている限り月額は固定、範囲を外れたら精算するという意味です。

精算幅 140-180h の場合(月額80万円・中央値ベース)

130h−5万円
190h+5万円
月額固定 80万円
140h下限
180h上限

中央値160hで割った時間単価5,000円を、下限割れ・上限超過した時間数に掛けて精算します。

計算式は「月額 ÷ 精算幅の中央値」または「月額 ÷ 下限」のどちらかが使われます。この違いが地味に効きます。

月額80万円・精算幅140-180hのとき、計算方式で精算額が変わる
計算方式時間単価190h稼働(+10h)130h稼働(−10h)
中央値(160h)ベース5,000円85万0,000円75万0,000円
下限(140h)ベース5,714円85万7,140円74万2,860円

下限ベースのほうが超過時は有利、下限割れ時は不利です。自分が「残業しがちなタイプ」か「早く終わらせるタイプ」かで、どちらが有利かは変わります。契約前に「精算の計算は中央値割ですか、下限割ですか」と一言確認するだけで、年間で数万円単位の差になります。

クラウドソーシングから移る人が最初につまずくところ

単発案件の感覚だと「早く終わらせれば時給が上がる」のですが、準委任の精算幅では早く終わらせても下限(140h)を割れば減額されます。売っているのは成果物ではなく稼働時間そのものだからです。この転換に納得できるかどうかが、実は単価より大きな分かれ目になります。

関門2:消費税 — 2026年9月30日で2割特例が終わる

エージェント経由の案件では、月額単価はほぼ「税別」で表示されます。月80万円なら、請求は88万円(消費税8万円)です。この8万円は預り金なので、いずれ納めます。ただし今は特例で、預かった分の大半が手元に残っています

インボイス制度の2割特例は、預かった消費税の20%だけを納めればよいという負担軽減措置です。年間売上960万円(税別)なら、消費税96万円のうち納税は19.2万円。差額の76.8万円は手元に残ります。月に直せば約6.4万円。これは決して小さい額ではありません。

この2割特例が2026年9月30日をもって終了します。個人事業主の場合、暦年が課税期間なので2026年分(2027年3月の確定申告)が2割特例を使える最後です。その後は、課税売上高1,000万円以下の個人事業主向けに新設された3割特例が2027年・2028年の2年間限定で使えます。

年間売上960万円(税別・消費税96万円)の場合の納税額イメージ
時期・制度納税額手元に残る額条件
〜2026年分:2割特例19.2万円76.8万円2026年9月30日までを含む課税期間
2027・2028年分:3割特例28.8万円67.2万円課税売上高1,000万円以下の個人事業主のみ
売上1,000万円超になった場合
(簡易課税・第五種)
48.0万円48.0万円みなし仕入率50%。3割特例は使えない

ここが、クラウドソーシングからエージェント案件へ移る人にとって重要なポイントです。月80万円の案件を1年通して受けると、売上は960万円。あと1件スポットを受ければ1,000万円を超えます。超えた瞬間に3割特例の対象外になり、消費税の負担が一気に上がる。単価が上がったのに手取りの伸びが鈍る、という現象がここで起きます。

法人は3割特例の対象外

2026年10月以降、法人には3割特例の延長がありません。本則課税か簡易課税を選ぶことになります。「単価が上がったから法人化」と考えている人は、この点も含めて試算してから決めたほうがいい時期です。制度の詳細と自分のケースへの当てはめは、国税庁の資料か税理士で必ず確認してください。

2割特例の終了までに、売上と消費税の管理を仕組み化しておく

エージェント経由の準委任に移ると、毎月の請求書・インボイス番号の記載・消費税区分の管理が固定業務として発生します。特例が切り替わる2026年後半は、去年と同じやり方だと納税額の見込みを外しやすいタイミングです。売上規模が変わる前に、会計側を先に整えておくのが安全です。

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関門3・4:社会保険と税金 — 会社員との決定的な違い

会社員なら健康保険料は会社が半分負担しています。フリーランスは国民健康保険料を全額自己負担し、国民年金も自分で納めます。令和8年度(2026年4月〜2027年3月)の国民年金保険料は月額17,920円で、前年度から410円上がりました。年間では21.5万円です。

国民健康保険料は自治体と所得で大きく変わるため一律には言えませんが、所得が800万円台まで伸びると年間で数十万円規模になります。ここに所得税・住民税が乗ります。

月額単価80万円(税別)で12ヶ月稼働した場合の概算 ※ 東京都内・40歳未満・青色申告・扶養なしを想定した目安
項目年額月換算
売上(税別)960万円80.0万円
経費(PC・書籍・通信・自宅按分など)−60万円−5.0万円
国民年金・国民健康保険−約100万円−約8.3万円
所得税・住民税−約160万円−約13.3万円
自由に使える額(消費税分を除く)約640万円約53万円

ここに2割特例で残る消費税分(年76.8万円・月6.4万円)が乗るので、2026年分までなら実質的に月59万円前後という見立てになります。特例が3割に変わればここが月約56万円に下がります。

この表は「目安」であって計算結果ではありません

国民健康保険料は自治体・年齢・扶養人数で大きく変わり、所得控除の内訳によって税額も動きます。一般にフリーランスの手取りは額面の50〜60%、会社員は額面の75〜85%と言われる差は、この構造から生まれています。正確な数字は自分の自治体の保険料率と、実際の帳簿で確認してください。

つまり、「月80万円」は会社員の年収960万円と同じ意味ではありません。自由に使える額でざっくり比べると、会社員の年収900万円前後の手取り感に近いあたりに着地します。しかもこの比較には、会社員側にあってフリーランス側にないもの——厚生年金の上乗せ、退職金、雇用保険、有給休暇、健康診断——が一切入っていません。将来の年金額まで含めれば差はもう少し開きます。

単価交渉のときに、自分の中でこの換算を持っているかどうかで、提示額を受けるか押し返すかの判断が変わります。「月80万円は今の会社員給与より上か」ではなく、「月80万円を上の表に通した後の額が、今より上か」で比べてください。

04同じスキルでも単価が変わる — 商流とマージンの構造

エンド企業から元請け、二次請け、エージェント、あなたへと発注予算が流れ、各段階でマージンが引かれて手取り単価が細くなる商流の図解
発注元の予算は同じでも、間に何社入るかで自分に届く額が変わります。これが「同じスキルなのに単価が違う」の正体です。

単価が案件によって違う理由は、スキルの差だけではありません。商流の深さ——エンド企業から自分までに何社挟まっているか——が効きます。各社が要員確保・契約管理・調整の対価としてマージンを取るので、下流にいくほど手元に届く額は目減りします。

マージンの相場と、公開しているエージェント

フリーランスエージェントのマージン率はおおむね10〜25%とされます。20〜30%という説明をしているメディアもあり、実態としては会社ごとの幅がかなり広い領域です。ここで押さえておきたいのは、率そのものより公開しているかどうかです。

非公開だから悪い、という単純な話ではありません。マージンには案件開拓・与信・契約書チェック・稼働中のトラブル対応といった実務が含まれていて、それが薄い会社もあれば厚い会社もあります。判断材料として使えるのは、面談で聞いたときの回答の具体性です。

面談で聞く3つの質問
  • 「この案件の商流は何次請けですか」——エンド直か、間に何社入るか。答えられない会社は自社も末端の可能性があります。
  • 「マージン率、もしくは率の考え方を教えてください」——数字が出なくても「案件規模で◯〜◯%の幅」など、構造の説明ができるかを見ます。
  • 「精算幅の計算は中央値割ですか、下限割ですか」——ここを即答できる担当者は、契約条件をきちんと読んでいます。

この3つは、答えの中身以上に「聞かれ慣れているか」がわかるのが価値です。エージェントとの面談で何を準備しておくかはAIエンジニア転職エージェントとの面談準備でも整理していますが、フリーランス案件の面談ではこの商流・精算の2点が加わると考えてください。

05クラウドソーシングの単発と、準委任の月額を「時間あたり」で比べる

左側に不揃いで散らばったブロックとギザギザの折れ線、右側に等間隔で規則的に並んだブロックと水平な直線を並べた抽象図
左:単発案件の稼働と収入。右:準委任契約の稼働と収入。同じ月収でも、収入の「形」がまったく違います。

ここまでの数字を、いま自分がいる場所と接続します。クラウドソーシングで単発を受けている人が「月80万円」と比較すべきなのは、案件単価ではなく時間あたりの実入りです。

試算:5万円の単発案件は、実際いくらの時給か

クラウドワークスのワーカーシステム利用料は、報酬額に応じた段階制です。10万円以下の部分は20%、10万円超20万円以下の部分は10%、20万円超の部分は5%(タスク形式は金額にかかわらず20%)。単発の小口案件は、そのまま最も高い率の帯に入ります。

試算:条件を揃えて時間あたりの実入りを比べる(筆者による計算。数値は仮定を明示した目安です)
比較項目クラウドソーシングの単発エージェント経由の準委任
案件額5万円月80万円(税別)
手数料−20%(1万円)単価に内包(マージン控除後の提示額)
受け取り4万円80万円
制作にかかる時間20時間160時間
提案・見積・やりとりの時間10時間0時間(稼働開始後)
時間あたりの実入り約1,333円5,000円

この試算の肝は「提案・見積・やりとりの時間」を分母に入れたことです。単発案件では、受注できなかった提案の時間もコストとして自分が被ります。ここを分母に入れずに「5万円÷20時間=2,500円」と計算していると、実態より2倍近く高く見積もることになります。

参考として、ファインディの調査ではフリーランスエンジニアの時間単価の平均は5,319円(前回調査から200円増)でした。上の試算で出した準委任側の5,000円は、市場平均と整合する水準です。

ただし、この比較は「エージェント側が有利」を意味しません

準委任の5,000円は週5日・160時間を固定で差し出した結果の数字です。単発の1,333円は低いですが、いつ働くか・何を受けるかを自分で決めています。比べているのは金額だけで、自由度は比べていません。「時間あたりで4倍差がある」という事実と、「その4倍のために平日日中を明け渡す」という条件を、両方セットで受け取ってください。

プラットフォーム側の手数料や案件の取りやすさを比べたい場合はクラウドワークス・ランサーズ・ココナラのAI案件比較、案件検索サイトとクラウドソーシングの仕組みの違いはフリーランスボードとクラウドワークスの比較にまとめています。なお、単発案件のまま単価を上げる方向で考えたい人はAI副業の収益化は「価格設定」で決まるのほうが直接的です。この記事は相場の側から見た判断材料を扱っています。

06移れる人・まだ移れない人 — 条件は単価より手前にある

相場を理解したうえで、次の問いは「そもそも自分は応募できるのか」です。ここが実は一番シビアで、多くの人は単価で落ちるのではなく、応募条件で土俵に上がれません

条件1:実務経験年数

AIエンジニアのフリーランス案件では、「エンジニアとしての実務経験3年以上」が必須要件として置かれているものが多数派です。「必須スキルの実務経験2年以上」という形で切っている案件もあります。フリーランスは即戦力前提で採られるため、未経験募集はほぼありません。

ここでいう「実務経験」は、多くの場合企業の開発チームでの業務経験を指します。クラウドソーシングで受けたAI関連の仕事は、内容によってはスキルシートに書けますが、「業務システムの開発経験3年」の代替としては通りにくいのが実情です。

条件2:週の稼働日数とリモート可否

AI案件の多くは週3〜5日の稼働を前提にしています。会社員を続けながら副業として受けるのは、この時点で難しい案件が大半です。週3日案件は存在しますが、案件数は週5日で探す場合と比べて感覚的に1〜2割程度まで減ると言われます。

リモートの状況は改善していますが、完全に自由ではありません。フリーランスボードが公開した2026年8月7日時点のデータでは、以下の内訳でした。

掲載案件の稼働形態の内訳(2026年8月7日時点・596,076件)

カッコ内は前月比。IT案件全体の数値です。

一部リモート
52.5%
常駐
24.2%
フルリモート
23.3%
0 25% 50% 75% 100%

前月比では常駐が+3.7ポイント、フルリモートが+1.4ポイント、一部リモートが−5.1ポイント。出典:INSTANTROOM株式会社「2026年8月フリーランス案件の単価における市場動向」

フルリモートは4件に1件を切ります。「一部リモート」の内訳は週1出社から週3出社まで幅があり、実質的には通える範囲に住んでいることが条件になります。地方在住で完全リモート前提だと、対象案件は一気に絞られる。単価レンジの前に、この母集団の狭まりを見ておく必要があります。

エージェント案件に応募する前のセルフチェック
  • エンジニアとしての実務経験が3年以上ある(または必須スキルで2年以上)
  • 平日日中に週3日以上、継続して確保できる
  • 通勤圏内に出社できる、または完全リモート案件だけで探す覚悟がある
  • スキルシートに、担当工程・使用技術・チーム規模・成果を数値で書ける案件がある
  • 収入が3〜6ヶ月止まっても生活が回る資金がある(契約は更新制です)

5つとも埋まるなら、あとは実際の案件を見て単価レンジを確かめる段階です。掲載されている案件の下限額を、自分の経験年数で絞り込んで見るのが一番早い答え合わせになります。

自分の条件で、AI案件の単価レンジを実際に確かめる

相場記事の平均値ではなく、「実務◯年・週◯日・リモート希望」で絞り込んだときに何件出て、下限がいくらかを見るのが最短です。複数エージェントの案件を横断で検索できるサイトなら、1社ずつ登録する前に母集団の広さを把握できます。

AI案件の単価レンジを検索する

チェックが埋まらなかった場合の順序

実務経験3年に届いていないなら、単価交渉の話をする段階ではありません。順序としては、①業務での開発経験を積む → ②AI領域の実務実績を作る → ③エージェント案件へになります。②を独学だけで作るのは時間がかかるため、スクールや講座で実務に近い形の成果物を作る選択肢が出てきます。

ただし「AIスクールに通えば案件が取れる」という話ではありません。各校の"案件保証"の実態と料金はDMM生成AI CAMP・Winスクール・AI Agent Campの徹底比較で検証しています。給付金を使えるかどうかで実質負担が大きく変わるので、AIスクールの教育訓練給付金の対象講座の選び方も先に確認してください。

実務経験の空白を埋めるところから始める場合

エージェント案件の応募条件に届いていない段階では、単価を上げる工夫より「書ける実績を1つ作る」ほうが効きます。生成AIを業務に組み込む形の講座は、そのまま職務経歴に書ける題材になりやすい領域です。

生成AI講座の内容を確認する

07決まった単価を守る — 契約で確認すべき法的なポイント

単価は交渉で決まりますが、決まった単価が守られるかは契約と法律の話です。2024年11月1日にフリーランス・事業者間取引適正化等法(通称フリーランス法)が施行され、発注側に明確な義務が課されました。単発案件しか受けてこなかった人ほど、ここは知らずに来ているはずです。

発注側に課された義務のうち、単価に直結する3つ

01

取引条件の明示義務

業務委託をしたら、直ちに書面または電磁的方法(メール・メッセージ等)で取引条件を明示しなければなりません。「口頭で単価を聞いただけ」の状態は、発注側の義務違反です。精算幅・計算方式・支払期日が書面にないなら、稼働を始める前に出してもらってください。

02

報酬支払期日のルール

検査の有無にかかわらず、成果物等を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定め、その日までに支払う義務があります。「翌々月末」のような条件が60日を超えていないかは、契約書で確認できます。

03

中途解除の30日前予告

継続的な業務委託を解除する、または期間満了後に更新しない場合、原則として30日前までに予告しなければなりません。理由の開示を求めれば、開示する義務もあります。準委任は更新制なので、この規定が実質的な収入の緩衝材になります。

あわせて、報酬の減額・受領拒否・買いたたきなどが禁止行為として定められています。違反した発注事業者は行政機関の調査対象となり、指導・勧告、従わない場合は命令・事業者名の公表に至ります。

常駐案件で気をつける「偽装請負」

常駐の準委任契約そのものは適法です。問題になるのは運用の実態のほうで、判断基準は「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)に示されています。おおまかに次の3点から総合判断されます。

単価の話に戻すと

実態が「常駐して発注者の指揮命令下で働く」に近づくほど、働き方は会社員に近づくのに、社会保険・退職金・雇用保険はないという状態になります。これは単価では埋め合わせにくい部分です。案件を選ぶとき、単価レンジと同じ重さで「誰が作業の進め方を決めるのか」を面談で確認してください。裁量がある案件のほうが、同じ単価でも実質的な条件は良くなります。

08「単価を提示される側」に立つまでの順序

ここまでの内容を、行動の順番に組み直します。相場を知ることがゴールではなく、自分に提示される単価が上がることがゴールです。

01

いまの時間あたり実入りを計算する(今週)

直近3ヶ月に受けた案件について、報酬から手数料を引いた額を、提案時間・打ち合わせ時間を含めた総時間で割ります。ここで出る数字が、あらゆる比較の基準になります。多くの人はこの数字を出したことがありません。

02

スキルシートを1枚作る(2週間)

A4で1〜2枚。案件ごとに担当工程・使用技術・チーム規模・成果を数値で書きます。エージェントはこの1枚で提案先を決めるので、ここの解像度がそのまま単価レンジになります。クラウドソーシングの案件も、業務内容が説明できるものは書いて構いません。

03

案件検索で「自分の条件」の母集団を見る(同時期)

実務年数・稼働日数・リモート条件で絞って、何件出るか・下限がいくらかを確認します。件数が極端に少なければ、条件のどれかを緩める判断がここでできます。登録前に外から見えるサイトを使うと早いです。

04

2〜3社と面談して、提示レンジを比べる(1ヶ月)

1社だけだと提示額が高いのか安いのか判断できません。商流・マージンの考え方・精算幅の計算方式の3点を全社に同じ質問で聞くと、比較が揃います。この時点で相場との差がはっきりします。

05

会計と契約の受け皿を作ってから稼働開始

売上規模が変わる前に、請求書・インボイス・消費税区分の管理を仕組みにしておきます。2割特例が2026年9月30日で終わるので、2026年後半に稼働を始める人はこの順番を後回しにしないほうが安全です。

この順序で進めると、単価は「調べるもの」から「提示されて比べるもの」に変わります。相場表の平均値より、自分に来た2〜3社の提示額のほうが、はるかに正確な自分の相場です。

09よくある質問

AI案件の単価はいくらですか?

集計方法によって3つの答えがあります。AI・機械学習エンジニアという職種に絞った実績ベースでは月額平均104.6万円(HiPro Tech・2024年1〜12月の案件データ)、IT案件全体の掲載ベースでは月額平均75.2万円(フリーランスボード・2026年8月7日時点、596,076件)、稼働中フリーランスの自己申告では約80万円・時間単価5,319円(ファインディ・2026年1月調査、回答265名)です。

案件タイプ別ではNLP・LLMが月80〜120万円、データ基盤・分析が月60〜90万円、AIコンサルが月100〜200万円が目安。いずれも週5日稼働・税別の表示で、ここから消費税・社会保険料・税金を差し引いた額が実際の手取りになります。

ITフリーランスのエージェントのマージンはいくらですか?

相場はおおむね10〜25%とされ、20〜30%という説明をしているメディアもあります。実態は会社ごと・案件ごとの幅が大きい領域です。PE-BANKのようにマージンを完全公開しているエージェント(報酬に対して8〜12%前後)もありますが、非公開の会社のほうが多数派です。

率だけで良し悪しは決まりません。マージンには案件開拓・契約書チェック・稼働中のトラブル対応などの実務が含まれるため、率が低くてもサポートが薄ければ結果的に損をすることがあります。面談で「率、もしくは率の考え方」を聞いたときに、構造を説明できるかどうかを判断材料にしてください。

AIコンサルの相場はいくらですか?

フリーランスのAIコンサルタント案件は月100〜200万円が目安で、AI案件のなかで最も単価レンジが高く、同時に最も幅が広い領域です。参考として、HiPro Techの2024年の職種別集計ではDXコンサルタントが月120万円、ITコンサルタントが月118.2万円と、コンサル系職種が上位を占めています。

ただしこの単価帯は、実装スキルよりも事業課題をAIで解ける形に翻訳し、社内を動かす力が問われます。エンジニアの延長線上ではなく別職種と考えたほうが、キャリアの設計としては現実的です。

AIエージェントの作成費用はいくらですか?

受注する側から見ると、単発の請負として見積もるか、準委任の月額として受けるかで意味がまったく変わります。準委任なら月70〜120万円のレンジで稼働時間を売る形になり、開発の範囲が動いても報酬は稼働時間に紐づきます。

請負で一式いくらと決める場合は、要件の変更が自分のリスクになります。AIエージェント開発は要件が動きやすい領域なので、初めての取引先とは準委任のほうが安全です。単発案件として値付けする考え方はAI副業の収益化は「価格設定」で決まるで詳しく扱っています。

クラウドソーシングの実績だけでエージェント案件に応募できますか?

応募自体はできますが、通過は厳しいのが実情です。AI案件の必須要件は「エンジニアとしての実務経験3年以上」が多数派で、ここでいう実務経験は企業の開発チームでの業務経験を指すのが一般的だからです。

ただし、クラウドソーシングで受けた案件でも、担当工程・使用技術・チーム規模・成果を業務として説明できるものはスキルシートに書けます。「ChatGPTで記事を書いた」ではなく「◯◯社の社内文書検索システムをRAG構成で実装し、検索精度を◯%改善した」と書ける案件があるかどうかが分かれ目です。届いていない場合は、正社員として実務経験を積んでから独立する順序が現実的とされています。

週3日だけAI案件を受けることはできますか?

可能ですが、選べる案件は大きく減ります。週3日稼働の案件数は、週5日で探す場合と比べて感覚的に1〜2割程度まで減ると言われます。フリーランス全体の稼働日数では「週5日」が26.5%で最多、次いで「週3日」が20.9%、「週4日」が17.5%と、週3〜4日の働き方自体は珍しくありません。

注意点は、週3日案件の月額は週5日案件の5分の3ではなく、それより低くなることがある点です。発注側にとって週3日は調整コストが高いため、時間単価が据え置きか下がる形で調整されるケースがあります。応募時に「時間単価ベースでいくらか」を確認してください。

10まとめ:相場を「自分の数字」に翻訳する

AI案件の単価相場は、2026年8月時点で職種別に見れば月100万円前後、市場全体で見れば月75〜80万円。この数字自体は本物です。桁が2つ違うと感じたクラウドソーシングとの差も、時間あたりで見ると構造的な差として実在します。

ただしその数字は、精算幅・消費税・社会保険・税金という4つの関門を通って、月80万円なら自由に使えるのは月50万円台まで縮みます。そして受け取る条件として、平日日中の週3〜5日と、実務経験3年以上が求められます。

相場を知る価値は、平均値を暗記することではありません。提示された金額を、自分の手取りと自分の時間に翻訳できるようになることです。その翻訳ができれば、月70万円の提示を断るべきか受けるべきかを、他人の相場表ではなく自分の計算で決められます。

まずは今週、直近3ヶ月の案件を「提案時間込みの総時間」で割ってみてください。そこが出発点です。

参考・出典

  1. INSTANTROOM株式会社「【2026年8月】フリーランス案件の単価における市場動向【フリーランスボード】」(2026年8月18日発表・調査対象596,076件・2026年8月7日時点)
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000145.000116595.html
  2. ファインディ株式会社「【2026年最新調査】フリーランスエンジニアの平均月単価約80万円。コード生成にAI活用で月単価に約10万円の差。」(2026年3月11日発表・調査期間2026年1月23日〜30日・回答265名)
    https://findy.co.jp/3922/
  3. HiPro Tech(パーソルキャリア)「ITフリーランスエンジニアの平均月額単価ランキング〜2024年の市場動向と2025年の展望〜」(2024年1〜12月の案件データ)
    https://hipro-job.jp/pro/service/tech/column/market/33111/
  4. 日本年金機構「国民年金保険料」(令和8年度:月額17,920円)
    https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/hokenryo.html
  5. 国税庁「簡易課税の事業区分について(フローチャート)」(受託開発ソフトウェア=第五種事業・みなし仕入率50%)
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/20/02.htm
  6. 公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」/中小企業庁「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2024年11月1日施行)
    https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2025/
  7. 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)
    https://www.soumu.go.jp/main_content/000543074.pdf
  8. クラウドワークス「ワーカーシステム利用料」(10万円以下20%/10万円超20万円以下10%/20万円超5%/タスク形式20%)
    https://crowdworks.jp/pages/guides/employee/fee
  9. フリコン「AI案件の種類と単価相場|フリーランスエンジニア向け完全ガイド」(案件タイプ別・経験年数別レンジ)
    https://freelance-concierge.jp/articles/detail/124/
  10. フリコン「準委任の精算幅とは|140-180hの意味と超過・控除の計算方法」
    https://freelance-concierge.jp/articles/detail/505/

※ 本記事の単価・税額・保険料は、記載した各出典の公表値と、そこから筆者が仮定を明示して試算した目安です。実際の金額は契約条件・自治体・年齢・扶養状況・所得控除の内訳によって変わります。税務および契約の判断は、国税庁の資料および税理士・弁護士等の専門家にご確認ください。
※ 制度・料率は2026年8月20日時点の情報です。インボイス制度の経過措置は今後変更される可能性があります。

福朗
福朗

AI副業の実践者 / メディア運営。AIを活用した業務自動化と副業の仕組み化について発信しています。

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