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フリーランス新法の契約書チェックリスト【2026年版】|明示すべき9項目と、勧告事例に見る危ない発注のサイン

公開 著者: 福朗(AI副業の実践者 / メディア運営)

「契約書を送ってほしい」と言ったら気まずいだろうか——副業でフリーランス案件を受けている人ほど、そう感じて条件が曖昧なまま作業を始めてしまいがちです。でも2024年11月に施行された「フリーランス新法」は、まさにその状況を変えるための法律です。2026年1月には運用面でもいくつか動きがありました。この記事では発注する企業側ではなく、契約書を「受け取る側」であるあなたの視点で、2026年時点で契約書・発注書に何が書かれているべきか、書かれていなければどう動けばいいかを整理します。

フリーランス新法の契約書9項目チェックをテーマにしたアイキャッチ画像。デスクで契約書にサインするフリーランスワーカーのイラスト
夜の自宅デスクで届いた契約書をランプの明かりの下で確認するフリーランスワーカーのイラスト
届いた発注内容を「なんとなくOK」で流さず、条件を一つずつ確認する習慣が2026年はより重要になっています。

フリーランス新法、2026年に入って何が変わった?

正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」。2024年11月1日に施行され、業務委託を受けて自分自身で役務を提供する個人事業主・一人社長・副業ワーカーを「特定受託事業者」として保護対象にしています。副業として会社員が個人事業主の立場で仕事を受けている場合も、原則としてこの法律の対象です。

2026年に入ってから押さえておきたい変化は主に3つあります。

  1. 取適法(改正下請法)との優先関係が明確化。2026年1月に施行された改正下請法(通称・取適法)とフリーランス新法の適用が競合する取引については、原則としてフリーランス新法が優先適用されるという解釈が示されました。どちらの法律が自分に関係するのか迷う必要はなく、フリーランス・個人事業主として受注している限りはフリーランス新法の保護がベースになります。
  2. インボイス未登録を理由にした報酬の天引きが「買いたたき」になり得ると明確化。免税事業者であることを理由に、消費税相当額を発注者が一方的に差し引く行為が違反となり得ることが2026年1月以降はっきりと示されました。
  3. 施行から1年強で、執行が「建前」から「実際に動く制度」になってきた。下記の通り、指導・勧告の実績が積み上がっています。
441件2024年11月〜2025年9月の指導件数
8件2026年2月末までの勧告件数
60日報酬の支払期日ルール
50万円違反時の罰金上限+事業者名公表

つまり2026年の今、フリーランス新法は「施行されたけど実際どうなの」という段階から、「実際に指導・勧告が出て事業者名も公表される」段階に移っています。だからこそ、自分が受け取る契約書・発注書の中身を一度きちんと確認しておく価値があります。

契約書・発注書に必ず入っているべき9項目【チェックリスト】

フリーランス新法第3条は、発注事業者に対して業務委託の際の取引条件を書面またはメール・チャットなどの電磁的方法で明示する義務を課しています。口頭だけの発注はこの義務を満たしません。チャットやメールでの明示は認められるので、「契約書」という堅い形式である必要はありませんが、次の9項目が抜けていないか確認してください。

報酬額の相場観そのものに不安がある場合は、値上げ交渉の考え方を含めて報酬額の相場観・値上げ交渉の記事も参考にしてください。契約条件が明確になっているほど、後から「聞いていた金額と違う」というトラブルを避けやすくなります。

勧告事例に学ぶ「危ない発注」のサイン

2026年6月、公正取引委員会はKADOKAWAに対し、雑誌製作関連業務を委託するフリーライターらに取引条件を明示していなかったとして勧告を出したことが明らかになりました。大手出版社であっても、取引条件明示という基本的な義務が徹底されていなかった実例です。

弁護士による指導・勧告事例の分析でも、違反の入り口として最も多いのは「取引条件の明示」と「期日内の報酬支払」の2点だと指摘されています。つまり9項目チェックリストの中でも、①名称②内容③金額④支払期日のあたりが最も揉めやすいということです。次のようなサインが見えたら注意してください。

こんな発注は要注意
  • 口頭やオンライン通話だけで発注が完結し、書面・チャット・メールでの記録が一切残らない
  • 金額が「応相談」「後で調整」のまま作業がスタートしている
  • 納品後の支払日がそもそも明示されていない、または「請求書を出したら検討する」と曖昧
  • 検収基準が示されないまま「イメージと違う」を理由に差し戻しが繰り返される
  • 免税事業者(インボイス未登録)であることを理由に、報酬から一律で消費税相当額を引かれる
ノートパソコンと契約書の束を保護する盾のコンセプトイラスト、フリーランス新法による取引保護のイメージ
法律はあっても、条件を確認しなければ保護は働きません。まずは自分の契約条件を可視化することが第一歩です。

契約書が曖昧・存在しないときの動き方

副業や案件受注の現場では、発注者側が悪意なく明示義務を知らないケースも多くあります。角を立てずに条件を明確にするには、次のような進め方が実践的です。

1. 自分から「取引条件確認シート」を送る

公正取引委員会や各種契約サービスが無料で配布している取引条件明示のテンプレートを使い、9項目を箇条書きにしたメッセージを自分から送ってしまうのも手です。「念のため確認させてください」という体裁にすれば角が立ちません。

2. 案件を探す段階で発注者の傾向を見ておく

そもそも取引条件を丁寧に提示してくれる発注者と出会いやすいかどうかは、どのプラットフォームで案件を探すかにも左右されます。検索型で企業の情報を事前に確認しやすいサービスと、クラウドソーシング型で応募が中心のサービスでは、契約前に得られる情報量が異なります。この違いはフリーランスボードとクラウドワークスの違いを比較した記事で詳しく整理しています。

見積もりから契約、納品後の請求までを一連の流れとして整えておくと、条件の記録が自然に残るようになります。AIツールを使って提案・見積からクライアント対応・請求までを効率化する流れはフリーランスのAI活用で案件対応を効率化する5フェーズの記事で紹介しています。

条件をきちんと提示してくれる発注者と出会うには

検索型の案件サイトなら、発注元の情報や条件を契約前に確認しやすくなります。

60日ルールとインボイス天引き、支払いで揉めたら

報酬の支払期日は、成果物を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に定める必要があります(第4条)。これを超えて支払われない、あるいは支払期日自体が決められていない場合は、フリーランス新法の違反にあたる可能性があります。

また2026年1月以降は、免税事業者(インボイス未登録)であることを理由に消費税相当額を一方的に差し引く行為が「買いたたき」として問題視されることが明確になりました。すでに合意した報酬額から、後出しで消費税分を引かれた場合は、まず契約時の明示内容を確認してください。

支払いトラブルに直面したときの相談先には、公正取引委員会や中小企業庁が設置する「フリーランス・トラブル110番」、下請かけこみ寺などがあります。証拠として、9項目が明示されたやり取り(メール・チャットのスクリーンショットなど)を残しておくことが交渉の土台になります。

支払いが遅れがちな取引が続くと、月々の資金繰りにも影響します。確定申告や日々の入出金管理を整理しておくと、こうした遅延にも慌てにくくなります。ソフト選びに迷う場合は副業の確定申告ソフトの選び方の記事も参考にしてください。

支払いサイトが長く、資金繰りが厳しいときの選択肢

60日ルールが守られていても、入金までの資金繰りが苦しい場合は資金調達の手段を知っておくと安心です。

中途解約・ハラスメント条項も見ておく

継続的な業務委託については、発注者側が中途解約する場合に原則30日前までの予告が必要です(第16条)。長期契約を結ぶ際は、この予告ルールが契約書に反映されているか、あるいは反映されていなくても法律上のルールとして主張できることを知っておきましょう。あわせて、発注事業者にはハラスメント相談体制の整備も義務付けられています(第14条)。相談窓口の案内がまったくない発注元は、この点でも整備が遅れている可能性があります。

なお、インボイス登録をするかどうか自体で報酬条件の受け止め方は変わってきます。登録の是非を判断する基準は別記事で扱う予定ですが、まずはインボイス登録すべきかどうかの判断基準を整理してから、契約条件と合わせて考えるとよいでしょう。

よくある質問

フリーランス新法は、会社員が副業として個人事業主で受注する場合にも適用されますか?
対象になります。フリーランス新法は「特定受託事業者」、つまり業務委託を受けて自分自身で役務を提供し、従業員を使用しない個人・法人を保護対象としており、副業かどうかは要件になっていません。会社員が個人事業主として業務委託を受けている場合も、原則として法律の対象です。
契約書という形式ではなく、チャットでの発注でも問題ないですか?
問題ありません。フリーランス新法が求めているのは「書面またはメール・チャットなどの電磁的方法による明示」であり、契約書という決まった書式である必要はありません。逆に、口頭のみでのやり取りで9項目が一切記録に残らない場合は、明示義務を満たしていない可能性があります。
発注者が取引条件を明示してくれない場合、どこに相談すればいいですか?
中小企業庁・厚生労働省が設置する「フリーランス・トラブル110番」や、下請かけこみ寺、公正取引委員会の相談窓口が利用できます。相談の際は、やり取りの記録(メールやチャットのスクリーンショット)を残しておくとスムーズです。
2026年1月の取適法(改正下請法)施行で、フリーランス新法は不要になったのですか?
いいえ、フリーランス新法がなくなったわけではありません。両者が競合する取引については、解釈ガイドラインで原則としてフリーランス新法が優先適用されることが示されています。個人事業主・フリーランスとして業務委託を受けている場合は、引き続きフリーランス新法がベースになると考えてよいでしょう。
インボイス未登録を理由に消費税相当額を勝手に引かれました。取り戻せますか?
2026年1月以降、免税事業者であることを理由にした一方的な消費税相当額の天引きは「買いたたき」として問題視され得ることが明確になっています。まず契約時に合意した報酬額(税込・税別の別を含む)を確認し、一方的な減額であれば発注者に説明を求め、応じない場合はフリーランス・トラブル110番などの相談窓口に相談してください。

まとめ

フリーランス新法は2024年11月の施行から2年目に入り、2026年は「制度があるかどうか」ではなく「実際に運用され、指導・勧告が出る」段階に進んでいます。まずは自分が受け取っている契約書・発注書に、9項目——名称、発注日、業務内容、納品期日、納品場所、検収期日、報酬額、支払期日、現金以外の支払方法——が揃っているかを確認してください。曖昧な点があれば、角を立てずに自分から条件を確認するところから始めてみましょう。

参考・出典

  1. 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)」特設サイト(https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2025/
  2. 公正取引委員会「フリーランス・事業者間 取引適正化等法 ここからはじめる」パンフレット(https://www.jftc.go.jp/file/flpamph.pdf
  3. 日本経済新聞「KADOKAWAに公正取引委員会が勧告へ 雑誌製作委託でフリーランス法違反」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD0807M0Y6A600C2000000/
  4. 骨董通り法律事務所「フリーランス法まずはここから『取引条件の明示』と『期日における報酬支払』-指導・勧告事例を踏まえて-」(https://www.kottolaw.com/column/260325.html
  5. クラウドサイン「フリーランス新法とは?主な義務や罰則、取適法(旧下請法)との違い、相談窓口を解説」(https://www.cloudsign.jp/media/freelance-new-law/

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福朗
福朗

AI副業の実践者 / メディア運営。AIを活用した業務自動化と副業の仕組み化について発信しています。

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