個人事業主の会計ソフト、無料プランは副業でも足りる?「ずっと無料」と「初年度だけ無料」の違いで選ぶ【2026年版】
「無料」と書いてあったのに、1年後にいきなり課金された。確定申告の直前になって、無料プランのままでは申告書そのものが作れないと気づいた——副業の会計ソフト選びでは、こういう話がよく出てきます。 実は「無料プラン」には中身のまったく違う3つのタイプが混在しています。同じ「無料」の文字だけを見て選ぶと、あとで困るのはあなた自身です。この記事では、副業の所得区分(雑所得か事業所得か)と取引の頻度から、どの無料プランなら本当に確定申告まで完結できるのかを、公式情報をもとに整理しました。
結論:あなたのタイプ別、まず見るべき無料プラン
副業がスポット案件中心で「雑所得」として申告するなら、期間の制限なく使い続けられるやよいの白色申告 オンライン(フリープラン)かフリーウェイ経理Liteが選びやすい候補です。
継続的な副業で「事業所得」として申告するものの、取引件数がまだ少ないなら、年間50件までという条件つきでマネーフォワード クラウド確定申告のフリープランを様子見に使えます。
青色申告65万円控除を最初から狙うなら、無理に完全無料にこだわらず、「初年度だけ無料」の有料コースを前提に選んだほうが、あとで乗り換える手間が省けます。
そもそも副業に会計ソフトは必須?「雑所得」か「事業所得」かで変わる
副業の確定申告では、まず所得区分の判断が先に来ます。以前は「収入300万円以下なら雑所得」という基準が案として出ていましたが、2022年10月の所得税基本通達35-2の改正で、実際の判断基準は「取引を帳簿に記録し、その帳簿を保存しているかどうか」に変わりました。収入金額の多寡にかかわらず、帳簿があれば事業所得、なければ雑所得寄りに判断される、という整理です。
つまり「ちゃんと帳簿をつけているか」自体が所得区分に影響します。開業届を出すかどうかの判断も含めて、この境界線で迷っている場合は 副業で開業届は出すべきか?の判断フローチャート も参考にしてください。
なお、雑所得のまま白色申告する場合でも、記帳と帳簿書類の保存(法定帳簿は7年)は法律上の義務です。手書きやExcelでも制度上は可能ですが、無料の会計ソフトを使えば集計や書類作成の手間を大きく減らせます。確定申告そのものの手順を先に押さえたい場合は 副業の確定申告やり方完全ガイド にスマホe-Taxの手順までまとめています。会計ソフト選びの一般的な比較基準を先に知りたい方は 副業の確定申告ソフト 選び方|価格より先に見る7つの比較基準 も合わせてどうぞ。
要注意、「無料プラン」には3つの種類がある
契約更新という概念自体がなく、期間の縛りなく使い続けられるタイプ。やよいの白色申告 オンライン(フリープラン)、フリーウェイ経理Lite、円簿会計など。
1年間はキャンペーンで無料になるが、2年目から自動的に有料プランの請求が始まるタイプ。やよいの青色申告 オンラインのセルフ/ベーシックプランなど。クレジットカードや口座振替の登録が条件になる。
30日間などの期間限定トライアル後、無料プランへ自動的に"格下げ"され、機能が大きく制限されるタイプ。freee会計やマネーフォワード クラウド確定申告のトライアルなど。
特に紛らわしいのが2つ目と3つ目です。「初年度だけ無料」はキャンペーン期限(本記事執筆時点では2027年3月15日申込分まで)があり、期限を過ぎると通常の有料契約として案内されます。「お試し無料」は期間終了後も強制解約にはならず、無料のまま使えてしまうため一見親切に見えますが、実際は帳簿の閲覧・編集や確定申告書の作成といった中核機能が止まる設計になっています。
主要6ソフトの無料プラン比較【2026年9月時点】
| ソフト名 | 無料の種類 | 想定する申告 | 主な制限 | 確定申告書類の作成 |
|---|---|---|---|---|
| やよいの白色申告 オンライン(フリープラン) | ずっと無料 | 白色申告 | 電話・メール・チャットのサポート窓口なし。3年間ログインがないと利用停止 | ○(収支内訳書まで作成可) |
| フリーウェイ経理Lite | ずっと無料 | 白色・青色どちらも記帳可 | 青色申告決算書・確定申告書そのものの作成はできない(帳簿づけと決算書までが範囲) | ×(申告書は自作または国税庁の作成コーナー併用が必要) |
| 円簿会計 | ずっと無料 | 白色・青色 | 基本機能は無料だが、サポートや一部の帳票カスタマイズは別料金の場合あり | △(プランにより異なる) |
| マネーフォワード クラウド確定申告(フリープラン) | ずっと無料 | 事業所得向け | 仕訳登録は年間50件まで。レシート自動読み取り不可、証憑のクラウド保存不可 | ×(収支内訳書・青色申告決算書は作成不可) |
| やよいの青色申告 オンライン(セルフ/ベーシック) | 初年度だけ無料 | 青色申告(65万円控除対応) | 2年目以降は年額11,800円〜(税別・2025年12月改定後)。カード/口座登録が初年度無料の条件 | ○ |
| freee会計 | お試し無料 | 青色申告 | 30日間のトライアル後は「プラン未契約」状態になり、直近1ヶ月分以外のデータ閲覧・編集が不可 | ×(プラン未契約では申告書類を出力できない) |
※料金・仕様は変更される可能性があるため、契約前に必ず各社公式サイトの最新情報を確認してください。有料プランでの詳しい機能差は マネーフォワード クラウド確定申告「補助金プラン」は存在しない|料金を公式資料で検証 でも扱っています。
ケース別、結局どれを選べばいい?
雑所得・単発の副業なら
単発の業務委託や、フリマ・ポイ活的な副業収入が中心で、事業所得ではなく雑所得として申告する場合は、機能の多さより「期間を気にせず使い続けられるか」が重要です。やよいの白色申告 オンラインのフリープランなら、収支内訳書の作成まで無料の範囲でカバーできます。
まずは「本当にずっと無料」のソフトで始めたい方へ
口座振替やクレジットカードの登録も不要。副業の帳簿づけから収支内訳書の作成まで、無料プランのまま試せます。
事業所得だけど取引が少ないなら
すでに帳簿をつけて事業所得として申告している、あるいはこれからそうする予定で、かつ月の取引が数件程度にとどまるなら、マネーフォワード クラウド確定申告のフリープラン(年間50件まで)で様子を見るという選択肢があります。ただし収支内訳書や青色申告決算書はフリープランでは作成できないため、確定申告シーズンだけ有料プランに一時的に切り替える運用も検討してください。
青色申告65万円控除を最初から狙うなら
複式簿記での記帳とe-Tax(電子申告)が条件になる青色申告65万円控除を狙うなら、無理に完全無料のソフトにこだわる必要はありません。やよいの青色申告 オンラインのセルフ/ベーシックプランのように「初年度だけ無料」のコースを使い、2年目以降の課金を見込んで予算を組んでおくほうが結果的に手間が少なくなります。将来的に他のソフトへの乗り換えを検討する場合は、データ移行の実務を 弥生の青色申告オンラインからマネーフォワード クラウド確定申告への乗り換え手順 で確認しておくと安心です。
無料プランのままで確定申告書は作れる?
比較表からもわかる通り、「帳簿づけまでは無料」と「確定申告書類の作成まで無料」は別物です。やよいの白色申告 オンラインのフリープランは収支内訳書の作成・e-Tax送信まで無料の範囲に含まれますが、フリーウェイ経理Liteは帳簿と決算書までが無料の範囲で、申告書そのものの作成はサポート対象外です。この場合は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」に決算内容を転記して申告書を仕上げる、という二段構えの運用になります。マネーフォワードのフリープランやfreeeのプラン未契約状態も同様に、申告書類の出力はできません。申告の全体的な流れは 副業の確定申告やり方完全ガイド で確認できます。
インボイス・電子帳簿保存法は無料プランでも対応している?
インボイス制度(適格請求書等保存方式)や電子帳簿保存法への対応は、円簿会計・やよいの白色申告 オンライン・フリーウェイ経理Liteのいずれも、無料の範囲内で基本的な保存要件に対応しているとされています。ただし「対応している」の中身は、単なる保存機能なのか、取引先の登録番号の自動チェックまで含むのかでソフトごとに差があります。副業の取引先が免税事業者中心で、インボイス発行自体が不要なケースも多いため、まずは自分の取引にインボイス対応が本当に必要かを確認してから、機能の有無で選んでも遅くありません。
無料プランのままだと厳しくなる3つのサイン
- 年間の仕訳件数が50件に近づいてきた:マネーフォワードのフリープランは年間50件が上限です。月4〜5件のペースで取引があると、年内に到達します。
- 青色申告65万円控除を取りたくなった:複式簿記での記帳とe-Tax送信が条件になるため、申告書類の作成まで無料でカバーするソフトへの切り替えが必要になります。
- レシートや請求書の自動読み取りで時間を節約したくなった:完全無料のソフトはOCRでの自動仕訳に非対応、または簡易的な機能にとどまるものが多く、記帳作業に月あたり一定の時間が取られ続けます。記帳作業そのものを効率化したい場合は 個人事業主の記帳をAIで自動化する運用設計 も参考にしてください。
よくある質問
個人事業主におすすめの無料会計ソフトは?
個人事業主向けの会計ソフトのシェアは?
個人事業主が会計ソフトを使う場合、いくらくらいかかりますか?
副業の会計ソフトは白色申告でも必要ですか?
まとめ
「無料プラン」という言葉だけで選ぶと、1年後の課金や申告直前の機能制限に驚くことになります。まずは自分の副業が雑所得か事業所得か、取引の頻度がどれくらいかを整理したうえで、「ずっと無料」「初年度だけ無料」「お試し無料」のどれに当てはまるソフトなのかを比較表で確認してから選んでください。無料の範囲でも収支内訳書の作成やe-Tax送信まで完結できるソフトはあります。焦って有料プランに課金する前に、まずは自分の条件に合う無料プランで一度試してみるのが遠回りに見えて一番早い方法です。